神戸アートアニュアル2005 眺めるに触れる
2005年10月22日[土]-11月13日[日]
神戸アートビレッジセンター
入場無料[11:00-20:00 最終日は17:00まで 火曜日休館]
1F:KAVCギャラリー、 1room、 階段、 通路、ファッサード B1:KAVCシアター 他
主任実行委員/松本泰章(京都嵯峨芸術大学教員)
出品作家/井野敬裕、上野友幸、表恒匡、金澤麻由子、木下寛明、田中健司、坪田千佳、寺島康平、中村浩一郎、八木良太 ※日替わりで来館
インターンスタッフ/ 足立 沙弥香、有岡 あかね、鍛治 雅美、杣 めぐみ、大黒 真子、土田 恵好、長畑 靖香、宮崎 聡子、横田 裕子
デザイン/鈴木 篤
田中健司の屋外ファサードの作品は夕暮れより点灯いたします。

 


 人間は、生後しばらく、五感といわれるような感覚の分化が行なわれていません。例えば音が色として見えたり、その逆に感じたりします。こうした感覚の境界が曖昧な中で、自分の体を自分の手で触るという動作を繰り返し、内の世界(自己)と外の世界(他者)の境界を確かめるといわれます。
そうして成長した私達は、朝、目覚めた時から色んなものを目にします。けれど、その目に映る殆どは、ただ、ぼんやりと網膜に映されているだけです。たくさんの物や情報に囲まれ、当然のように目の前を通り過ぎていく、この世界。私達が見ている世界は本当に本物なのでしょうか。そこに広がるのは、すでに名付けられ 分類された後の世界かもしれません。
私達は、もう一度世界に触れること、自己に触れることで、何かを問い直し、その距離感を確かめたいと思います。この混沌から、不思議と焦点が合う何かを見つけ、一歩踏み出す行為に「眺めるに触れる」という言葉を与えました。


◆「神戸アートアニュアル2005」企画趣旨
「今世紀は独創的な創造に富んだ孤立した力の世界が画一的な力の世界に結びつくことになろう。ところがこの画一的な力は、物事を平均化し、製品を均一化して大量に放出し、社会というものの最終的な表現たる統一思考に従うのである。」

H・ド・バルザック『名高きゴーディサール』

ベンヤミンがパサージュ論の準備のために書き留めたバルザックの言葉です。資本主義の行く末を見据えた、なにか予言めいたこの言葉に彼はなにを感じとっていたのでしょうか。
現代の私達は、世界を覆いつつある資本主義のグローバリズムに対して価値観の多様性の必要性を訴え続けています。がしかし、価値観の多様化は結局のところ多様化する商品となり、また、並行して、芸術や教育の場で言われる個性の尊重は、多様化する表現を量産し、結果的に価値観の相対化を進めています。
多様化する表現と、多様化する商品は、どこか似ています。特に情報化の著しい今日では、相対化、細分化された価値観や個性は、マーケティングのによる操作のかっこうの対象となっています。高度に情報化された社会では、個性は商品として消費されるばかりです。
もちろん、現代の作家達は、これらの現状を意識的に利用したり、またそれらを逆手に取る戦略的な手法を駆使しています。また、無意識に個人の身体や内面、個々の記憶に逃れることでそれぞれの表現の地平を切り開いています。しかし一方で、現実の社会にあっては、多様化する商品や情報、そして芸術家達がくり出す表現までもが魅力を失っている現状があります。
このアニュアルが、価値観の多様化に伴う商品化や相対化の重圧に抗して、若い芸術家達が、内面と世界が触れあうその界面に留まり、新しく姿を現わす表現によって、現実の世界の可能性を切り開く企画になることを願っています。

松本泰章(2005年度主任実行委員)


インターンスタッフWEBサイト
今日のおつまみ

毎日のアニュアルの様子をインターンの視点からお伝えしていきます。


■関連企画
【プログラムA】出品作家プレゼンテーション+レセプションパーティー
◎10月30日(日) 15:00〜 リハーサル室2 参加費無料(定員70名) 
作品と作家像を知るための手がかりとなる「アーティストインタビュー映像」を放
映し、個々の作家についての質疑応答と共に、観客との双方向な座談会を展開していきま
す。
※終了後、レセプションパーティー及び、屋外/田中作品にてパフォーマンスユニットdotsによるライブパフォーマンスを実施。
【プログラムB】 ゲストトーク「眺めるに触れる」
※要電話予約・定員になり次第
締め切り
出品作家が選び出した多才なゲストの方々に、ご自身の活動や研究についてお話し
いただくと共に、独自の視点からタイトル「眺めるに触れる」について読み解いてい
ただきながら、現在の表現を考察していきます。
リハーサル室2(定員70名 参加費/一回500円 30分前から受付開始)
◎B-1 11月6日(日)14:00〜 アトリエ・ワン(建築家)
◎B-2 11月6日(日)17:30〜 茂木健一郎(脳科学者)
◎B-3 11月12日(土)17:30〜 椹木野衣(美術評論家)

【ゲストプロフィール】
◎アトリエ・ワン(建築家)

1992年、塚本由晴(1965年神奈川県生まれ。東京工業大学大学院博士課程修了。現在、同校助教授。)と貝島桃代(1969年東京都生まれ。東京工業大学大学院博士課程修了。
現在、筑波大学専任講師)によりアトリエ・ワン設立。独自の視点による都市観察をふまえ、狭い敷地を逆手にとってユニークな形式の小住宅を発表する他に「上海ビエンナーレ」など国際美術展にも多く参加。主な設計作品に『ミニ・ハウス』、『ガエハウス』。その他の作品・著作に『マンガ・ポッド』、『メイド・イン・トーキョー』などがある。

◎椹木野衣(美術評論家)
1962年秩父市生まれ。同志社大学を卒業後、東京を拠点に批評活動を始める。主な著作に『シミュレーショニズム』(ちくま学芸文庫)、『日本・ 現代・美術』(新潮社)、『「爆心地」の芸術』(晶文社)、『戦争と万博』(美術出版社)他。執筆のかたわら手掛けた展覧会のキュレーションに「アノーマリー」(レントゲン藝術研究所)、「日本ゼロ年」(水戸芸術館)、「スカイハイ」(キリンプラザ大阪)他。「殺す・な」などの活動も行う。現在、多摩美術大学助教授。

◎茂木健一郎(脳科学者)
1962年東京都生まれ。東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。東京工業大学大学院客員助教授(脳科学、認知科学)。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究している。著書に『脳とクオリア』(日経サイエンス社)、『意識とはなにか--<私>を生成する脳』(ちくま新書)、『スルメを見てイカがわかるか!』(角川書店、養老孟司氏との共著)、『脳と仮想』(新潮社)、『「脳」整理法』(ちくま新書)などがある。

◎dots(パフォーマンス・グループ)
2001年、京都造形芸術大学在学中に桑折現を中心に結成されたパフォーマンス・グループ。劇場だけでなく、野外、ホテルの一室など、それぞれの空間の特性を活かした作品を発表。演劇やダンスというカテゴリーに捉われず、その場で<体感>することを強く意識した独自の表現方法により、空間・身体・映像を結びつけたパフォーミング・アーツの可能性を追求している。これまでの作品に、『うつつなれ』(2003年伊丹アイホール/2004年東京スパイラルホール)、『水辺の生活』(2003年大阪HOTELT’POINT)などがある


主催/神戸アートビレッジセンター
   KOBE Art Annual Project実行委員会
協賛/アサヒビール(株)
協力/Ufer!MEDIA SHOP


・井野敬裕
・上野友幸
・表恒匡
・金澤麻由子
・木下寛明
・田中健司
・坪田千佳
・寺島康平
・中村浩一郎
・八木良太